


私は、ある事情で、日常生活すべてを人前でせねばならない状況に長く置かれたことがあるのだが、そのときは、1週間排便がなかった。
人前とはいえ、他の人は目をそむけているわけだし、もちろんオムツではなく、ちゃんとした水洗トイレで、肝心のところは隠されているという状況ですらそうなのである。
多くの介護者は、「老人だから便秘気味なのだ」と考えているかもしれないが、オムツ老人に下剤や涜腸が必要な理由の第1番めは、オムツのせいなのである。
ましてや前に述べたとおり、上を向いた姿勢では腹筋も働かないし、重力も味方してはくれない。
さらに下剤や涜腸の常用は、排便反射をますます消失させてしまうという悪循環に陥ってしまう。
訓練より排泄のための離床介助をさて、われわれ介護者はどうすればいいのか。
老人ホームの介護職だけでなく、治療の場にちゃんとした介護を実現しなければ、治療効果もあがらず、本当の看護はないと考えている看護職、さらには、在宅障害老人の生活づくりを真剣に考えているいろんな職種の人たちにとって、何より義的にやらねばならないこと、それが「排泄最優先の原則」である。
